〜対談企画/サロンブランドの高め方編〜『限られた商圏でサロンブランドを確立する!!』
- serio鶴田秀彦氏 プロフィール
昭和38年4月3日生まれ 中日美容専門学校を卒業 serioに入社 早くに店長を任せられ その後、総店長 専務時代にSPAサロンOPEN 37歳でハサミを置き経営に専念 39才で代表取締役社長に就任 就任後4店舗の美容室をオープンをする。スタッフのための社員寮の建設や、エコの推進など止まることを知らない・・・
serio
- ビューティーナビ株式会社取締役 佐々木亮輔 プロフィール
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昭和45年8月31日生まれ、ビューティーナビ株式会社取締役。8年前から全国各地の美容室、ディーラー、メーカーを訪問し、美容業界にITを活用した提案を行う。現在に至るまで『ビューティーナビ』を含め、3つの美容室検索サイトの運営に携わる。業界のインターネット事情に詳しい。
1、カットの「ヴォーグ」から質の「セリオ」へ
- 佐々木
- 今回は、serioさんのお話を是非お聞きしたいと思い、名古屋まで参りました。
先ずは、serioさんの現在に至るまでの歴史を教えて頂きたいのですが、立ち上げは何年位前ですか?
- 鶴田氏
- 現在39年で来年40周年です。39年前、永井(現serio会長)が岡崎市(愛知県)でスタートしました。はじめは、「ヴォーグ」という美容室名で始まりました。その頃は、カットの時代になる前でセット全盛の時代だったのですが、サッスーンのブラントカットを導入してカットに力を入れていきました。岡崎市ではかなり早いほうだったと思います。くりくりのパーマをセットしていた次代から、カットしてゆるめのパーマで簡単にセット出来ます。ということをいち早くやったのが永井です。
- 佐々木
- サッスーンカットは実際にロンドンに行って学んだのですか?
- 鶴田氏
- 実際行って学びました。それを岡崎市ではじめたのが早かったのと、男性美容師が施術するのも早かったですね。ブラントカットが早かったので、あの美容室に行けばセットをしなくてもドライヤーで簡単に形が付くっていうのが評判になりました。最初は暇だったお店がサッスーンカットが入ってから、ものすごく忙しくなりました。もう、オープン前に起こされたり、金庫にお金が入らなかったりしたようですよ。
- 佐々木
- 僕の主観ですが、岡崎市は郊外なので、サッスーンカットという名のカットがすぐに受け入れられたのか?と思ってしまうのですが・・
- 鶴田氏
- そのような時代だったんですね。その時、日本ではもう(流行が)そうなっていたけど、岡崎市ではまだ(流行が来てなかった)だったんですね。男性美容師も新鮮だし、サッスーンカットも新鮮だし、ブロースタイルやショートカットの新鮮さも重なって、現在の走りだったんじゃないかと思います。
- 佐々木
- 岡崎市で創業されたのは、永井会長が岡崎市出身だったからなんですね。
- 鶴田氏
- そうですね。
- 佐々木
- サッスーンカットで火がついて、serioブランドになったのはいつごろですか。
- 鶴田氏
- 僕が25年前に入社した当時は、ヴォーグが岡崎市と周りに5店舗ありました。今では考えられないと思いますが、セット面数が6、7面しかない小規模の店舗ばかりです。男性美容師が多くて、カットが上手くて、カットの「ヴォーグ」として認知が高くありました。ブランドのスタートという感じはそこからですね。
- 佐々木
- その安定した「ヴォーグ」というブランドをserioにされたというわけですよね。
- 鶴田氏
- その当時は、他の美容室とそんな大差はなかったのですが、永井がこれ以上店舗増やしてもしょうがないと思ってからブランディングが始まりました。店舗数を増やすよりも、もっと質の高い美容室にしたいということで、5店舗をリニューアルしていきました。
- 佐々木
- リニューアルは何回も?
- 鶴田氏
- かなりしましたよ。リニューアルして、移転して、単純に1つ1つの店舗を大きくしました。
- 佐々木
- 鶴田さんはserioが誕生してずっと歴史を見てきたわけですよね。
- 鶴田氏
- そうですね。ずっと見てきましたね。自分もそのスタンスで同じことをやってきたんですよ。
2、「環境」と「技術」と「人」のバランスがセリオブランドを高めた
- 佐々木
- 鶴田さんはサロンの“質”という部分を常に意識されています。質を高めるという点で色々なことをやられていたと思いますが、まず何をされたのでしょうか?
- 鶴田氏
- まずサロン側の環境としてやったことは、広くすること。それからベタベタの生活シーンを出さないようにしたことです。例えば、ポスター貼ったり、ポップをはったりは一切しない。絵も本物しか置かないし、必ずグリーンや花は造花を使いません。単純なことだけど、意外と美容室にも生活を感じさせるものがあふれています。だからこそ、広くてスッキリとしたサロンをつくって、質をもっと高めていきたいという思いが強かったですね。
また、スタッフの環境の整備としては、もう25年前から社会保険に入っています。
- 佐々木
- そんな前からですか。業界の中では珍しいですね。やはりスタッフの方の生活を安定させたいという考えからですか?
- 鶴田氏
- スタッフというより美容業界全体の雇用制度の改革に永井は取り組んでいます。僕が入って少ししてから週休2日制になりました。僕はそういう永井の流れのDNAを上手く刷り込まれたと思うのですが、自分もそれにすごく共感してきたので、自分が専務になり、社長に近づいてくるに連れて、永井がやってきたことをまとめ、どうゆうことだろうと考えると、「環境」と「技術」と「人」このバランスを高めることを永井がやってきたし、自分は社員をまとめてきたので、分かりやすく伝えなくてはいけないと思い、「環境」と「技術」と「人」のバランスを高めることがserioの気持ちだということを叫ぶようになりました。
- 佐々木
- 僕もビューティーナビ株式会社が去年6月に立ち上がって、文化を創らなくてはいけないということで、色々なことを伝えています。しかし、ある程度会社の規模が大きくなった時にどう伝えていくかが心配です。serioさんも大きくなったときに創業時の考え方が多少変わったり、スタッフに浸透しなくなったりという時期はありましたか?
- 鶴田氏
- ありましたね。自分が入った当時の30名位の規模から、現在は130名位の会社にいるわけですが、創業時の経営理念なんてなかったです。社長そのものが生きている理念ですから。1、2店舗の時はそんなに固く理念なんて叫ばなくてもいいんですよ。思いを伝えていけば。「もっとこうしたい!」という言葉の中に方向性がありますからね。しかし、スタッフが40人になり、50人になりと増えていくとそうはいかないんです。だんだん分かりやすく伝えていかなければ、伝わらなくなっていくんです。
丁度自分たちがその段階に行ったとき、それを創業者が伝えるのは中々難しいなと思ったと同時に、自分がやらなくてはと思いました。
- 佐々木
- 昔だと、カリスマ的な創業者がいらっしゃって、それに対してスタッフが当たり前のようについていくという関係性が出来ていると思いますが、今の若い方にそのような関係性を保つのは中々難しいと思います。人によって伝え方を変えたり、工夫したということもありましたか?
- 鶴田氏
- ありますね。偉そうに言いますが、僕は、「今の若い人」っていう言い方が嫌いなんですね。僕は社会に出たばかりのときに、社会の大先輩方に「新人類」って言われました。今年の社会人も「何々」って言われるんじゃないですか。
私たちが「新人類」と言われた時は、今までの価値観とはまったく違う創造のつかない変わった奴らだと言われたんです。それをすごい味わって、若い時つっぱっていたような時「俺たちは普通だ」と粋がっていた部分もありました。毎年新人が入ってきて、色々な新人と付き合ってきたのがすごく刺激になって、毎年、毎年「違い」を感じてきました。要するに、これは昔から変わっていなくて、江戸時代でも「今の若い者は」って言っていたと思います。
だから若い子のいいところをキャッチして、あとは伸ばすか殺すかは僕たち次第だなと思います。そう思うと、今年のタイプにはどう伝えるべきかと考えます。
- 佐々木
- 人が変わったというよりは時代背景が変わったと思った方が、正しいのかもしれないですね。
5店舗をserioブランドにして、それで1店舗1店舗のクオリティーを実際上げていかれた。何回もリニューアルを繰り返しサロンコンセプトも変わる中で、スタッフにはその考え方が伝わったのでしょうね。
- 鶴田氏
- その後もずっと質を上げるためのリニューアルは続きました。今度は広さだけでなくニオイを解決するとか、衛生面ではカットコームをお客様1人につき1本使い衛生面に気を使いました。良く考えれば当たり前のことですけど。順調にきているので、伝わっているのだと思います。
- 佐々木
- はじめは、サッスーンカット技術の「ヴォーグ」というブランドイメージだったと思うのですが、今のserioブランドではどの部分を大切にしているのですか?
- 鶴田氏
- 今は一番「バランス」が大切なところかなと思います。
うちはカット技術だけだということではなく、「環境」と「技術」と「人」の3つの中心が「技術」なのです。貪欲に新しいものを取り込むし、当然それを取り込むトレーニングは必要だし、時間も費用もかけています。
- 佐々木
- サッスーンカットのserioというイメージは今はないんですね。
- 鶴田氏
- 今はもうサッスーンカットというイメージではないですね。
- 佐々木
- 「環境(空間)」と「技術」「人(スタイリスト)」あと、お客様にこだわりはあるんですか?僕の考えだとブランドを創っていくのに、こうゆうお客様に愛されたいなどのこだわりも必要かなと思いますが。
- 鶴田氏
- 現状、serioに御来店されているお客様がピラミッド型になっているかは分からないですが、質を求めている方とか、もっと自分を磨きたい方が対象になると思うんですね。ただ、それを自分たちが選んでいるのではなくて、質の高いものをやっていけば、自然とそうゆう人たちに指示されていくだろうと思っています。もちろん「安くて、早くて、近くて」というニーズもあります。でも、自分は早くて安いというよりも、「高くても良いから確かな技術」「遠くてもいいからリラックスできる」という質を上げ続けていきたいと思います。だから、言葉は悪いですが値段も高くしたいくらいですね。そして、それに見合う技術や環境や人のレベルを上げて行きたいと思います。
3、究極のサロン“セリオ竜美丘”誕生!!迷いと決断の狭間…
- 佐々木
- serioブランドを高めていくという点では、5,6年前に、竜美ヶ丘店にお伺いさせて頂いたのですが、2階建てで、全面ガラス張りで、その上、滝のように上から水が流れてくる。第三駐車場までもあり度肝を抜かれたことを覚えています。竜美ヶ丘店がserioの一つ集大成のお店のように思えるのですが、竜美ヶ丘店を立ち上げるきっかけは何だったのでしょうか。
- 鶴田氏
5店舗くらいになった時、美容ということの質を上げていくと決め、それで質を上げ続けてきた。でも、ヘアだけでいいんだろうかと思い、美容室とエステをやりました。この先は何があるんだろうかと考えたときに、ヘアトレンドとかファッションとか、すべてヨーロッパからの流れになっていましたよね。1996.7年の頃、美容がアメリカでビジネスの流れになっていた頃に、永井がアメリカへ行ったんですね。日本はアメリカの流れを強く受けているので、何年かあとにアメリカの流れがくるという考えからです。それでアメリカに行って、ニューヨークとニュージャージーにパスカルというトータルビューティーサロンがあって、永井はそれに感化されてました。帰ってきてすぐ、「えらいものをみた」と。とにかくお前にも見て欲しいから一緒に来いと、帰ってきてすぐにまたアメリカに行ったんです。自分も見て、「これですね」となり、帰ってきてすぐにやろうとなりました。しかし、とてつもない億とかかる投資になります。丁度バブルがはじけた時ですよ。自分もいけるだろうと思いましたが、これは社運も懸かっているし、まずは色々な人に相談しようと思いました。雑誌関係の方とかディーラー様とか、エステ関係の方とか、会計士さんとか、メーカーさんとか・・・多くの方を呼び、こうやって(パスカルのようなサロン)いきますがどう思いますか?と聞いてみました。そうしたら全員NOを出しました。会計士さんは、「合うわけがない」と、エステ関係の方は、「確かにそれはこれから来るでしょう。でも岡崎市では成り立つと思えない」と言われ、メーカーさん、ディーラーさんには、「採算が読めない」と、誰一人賛同してくれる人はいませんでした。
それを聞いた時にそうかもしれない。それはちょっと早すぎる。ということで、社長にもうちょっと待ちませんか?とちょっと弱腰になりました。そこで永井も考えましたが、しばらくして永井が「やる!!」と決断をしたんですね。
そこから一気にトータルビューティーサロンを創り始めました。
- 佐々木
- その時は完全に踏ん切りをつけてスタートしたのですね。
- 鶴田氏
- そうです。そこから、「環境」「技術」「人」という言葉も出てきました。また、その流れで竜美ヶ丘も「リラクゼーション」と「トータルビューティー」というコンセプトを元に必要なものは何か?を考え、「水」と「緑」と「人」だということに気が付きました。だから緑が真ん中にあるし、そういう空間を創ることによってリラクゼーションとトータルビューティーが創れるんじゃないかと思いました。
- 佐々木
- 今のお話を聞くと、一度は迷ってやると決めたみたいですね。どのあたりで行けると確信をされたんですか?
- 鶴田氏
- 確信は永井がしたんですね。僕は最終判断もしていないし、当事は専務という立場で社長ほど決断はなかったです。社長が決断したこと関しては、僕もやるぞという気持ちになりました。自分が社長になってから、その時なぜ永井は決断できたんだろうとずっと考えていました。それが、社長業を行っていくうちに、永井が決断出来た理由が分かりました。数字で帳尻合わせた経営をやるなら会計士さんや数字に詳しい人がやればいいし、美容にしても何にしても、その筋のプロフェッナルがうまく出来るなら、その人達が経営をやればいい。でも、経営者はつじつまが合うことをやっていくのではなくて、合わなくてもやらなきゃいけないときがあるんですよ。新しい何かを創っていく本当の経営者はやっぱり想いや夢だったりで動けるんじゃないかと思います。でも、もちろんつぶれちゃいけない。そこで、最善の決断をしていく、でも守りに入ってはいけない。それが自分の理想的経営者なんです。自分も社長に変わってからすぐに、おもいきって美容室を創ってしまったんですが、それも、あの時のきっかけがあったからこそ、僕も決断出来たのだと思います。
- 佐々木
- 竜美ヶ丘店のオープンが決定して、ナンバー2(専務)の立場として突き進むということを決めたと思いますが、鶴田さんに不安とかあると下のスタッフなどに伝わってしまうと思います。社長の決断が下り、専務としてどのように覚悟を決めたのかが興味ありますね。やはり、社長に対して信じる気持ちが大きかったのでしょうか。
- 鶴田氏
- 疑いはなかったです。その時はそう思わなかったですが、自分が社長になってから、あの時を振り返るとすごい決断だったなと思います。自分が社長になった時そのことを思い出して、永井に何で決断が出来たのですか?と聞いたんですよ。「もし俺が計算高かったら、そんなリスクは背負わなかっただろう。俺計算できなかったから、やりたいからやったんだと」と。その思いで僕も一緒に創りたいなと思ったからできたんでしょうね。
- 佐々木
- 親会社の(株)東京コンサルトの創業者の村井という相談役がいるのですが、昨年、分社化して僕が経営者に近い立場になったときに、君は経営者としてこういう考えでやらなければいけないと教えてくれた言葉が「衆議独裁」という言葉です。色々な意見は聞かなくてはいけないけど、最後に決めるのは君だということを言われました。それによって自分で責任を持てということです。竜美ケ丘誕生の話を聞いて「衆議独裁」という言葉を思い出しました。
- 鶴田氏
- もともと永井が良い感覚を持っていて、例えば事務所で小物を置いたりとか、永井がさらっとやると「おおカッコイイな」とか、「どこで買ってきたんだろう」とか、常にセンスみたいなものに惚れていたので、信頼の中に不安はなかったですね。
- 佐々木
- そういったカリスマ的な方についていくのも凄く羨ましいことなのですが、やはり社長として引き継いだ時に鶴田さんの色を出そうという考えはあったのですか?
- 鶴田氏
- そうゆう考えはあったので、すぐにお店をオープンしたんですね。稲熊のお店で天井が6m50cmで床暖房もいれて、新しいタイプのサロンを創りました。自分が専務の時から5店舗リニューアルしていますからね。稲熊のお店は、今まで自分が専務時代にやっているお店はどこかserioらしさってこうだよなってものを創っていて、自分の創りたいものでなく、serioの創りたいものイコール永井の好むものを創っていました。永井に合わせようとは思ってないですよ。でも結局こうゆう感じがいいよねって。まずうちは原色を使うことはないし、ナチュラル色だし、コンクリートの打ちっぱなしにすることもありません。自分が納得いく、やりたい店を創ろう思ったので、自分のカラーを全面に出すことに決めました。僕が代表になった時に思ったのが、このまま永井の色を引き継いでいくのだったら永井は当時まだ60歳でしたから、まだ有り余ったパワーがあるので、僕がやらず永井がやって、僕がサポートすればいいわけです。それじゃ変わった意味がないんですね。
- 佐々木
- なるほど。竜美ヶ丘店の件に戻るのですが、当時いろんな方が反対されていましたし、トータルビューティーというサロンが成功してないとか、トータルビューティーという名前でもヘアしかやっていなかったり、そのような中で「空間」と「技術」と「人」という点ではどのような教育をされたのですか?他の業界から人を引っ張ってきて教育なども行なったのでしょうか?
- 鶴田氏
- 接客のプロを呼んだりはしましたが、スタッフは全部社内の人間だけで教育をやりました。トータルビューティーのサロンとSPAサロンと美容室は全く違うもので、多分一緒にして成功しないのは分かります。SPAとヘアの温度差がまったく違うもので、SPAはなるべく裸の状態になって欲しいので。男性でいえば、サウナに行ってちょっと一杯やって楽になろうかというご褒美感覚です。ヘアの方だとスッピンで行くのではなく、化粧をして少しおめかししてもっときれいになりたいと思う。SPAは癒しなので、温度差がありますよね。それを同じ建物でやろうっていうのは強引な話ですよね。
- 佐々木
- お客様としては、一日に同時にヘアとSPAを受ける人が多いですか?それとも、別々の日で施術を受ける人が多いですか?
- 鶴田氏
- 別々ですね。
- 佐々木
- もともとそういったコンセプトで考えていたのですか?
- 鶴田氏
- いやアメリカはそうではなかったですね。1Day spaですから。1日で温泉を楽しんで、せっかくの一日をすべて足の先から頭の先までキレイにしましょうということで、これの発祥はヨーロッパのスパ、要するに何日も滞在する日本の湯治っぽい感覚ですね。本当は、身体の治療もしながらきれいになっていくというかたちです。でもアメリカ人のライフスタイルに合わないので、もっと忙しいからキュっとまとめたという感覚だから。
日本人には合うかなと思ったらそんなことなかった。
- 佐々木
- 当初1day spaを前提ということでお店を創りますよね。別々の日に施術を行うというと、お客様の予約だとかお店全体のフローとかが変わりますよね。
- 鶴田氏
- もう自分の中で対応していったという感じですかね。
- 佐々木
- たとえば、ヘアのために来店したお客様に対して、SPAを勧めたときに「今日はいいわ。後日にね」という流れになるんですかね?
- 鶴田氏
- そうですね。最初は1日の人もいましたが、それだと1日丸々空けられます。でも、逆に1日リラックスしていると疲れちゃうとも聞きました。
- 佐々木
- ヘアブランドとしてserioが好きだから来たお客様がはたしてSPAだけで来るかとか、そのような不安はありますよね。ヘアと同日だから一緒にSPAを受けるというイメージがあったのですが、別々の日となるとSerioというブランドに愛着ないと2回に分けては来ないですよね。そこがすごいなと思います。
- 鶴田氏
- 逆に信頼があったのかもしれないですね。
- 佐々木
- そうですよね。だから違う日にSPAに来るわけですからね。
- 鶴田氏
- 岡崎市という土地ではある程度、serioがやっているSPAだから安心だというきっかけになったのかもしれません。
- 佐々木
- 失礼かもしれませんが、岡崎市という限られた商圏で質を高めるという点では、普通は限界を感じて商圏を広げていこうとか、違う商圏に店舗を出そうという考えになると思うんですが、かなり長い年月ならなかったってことですよね。
- 鶴田氏
- そうですね。
4、良い仲間が良い仲間を呼ぶ
- 佐々木
- (名古屋の)栄に店舗を出そうと思ったきっかけはどうゆうところですかね。
- 鶴田氏
- 愛知県というくくりでいくと名古屋がダントツなんですよ。山に例えると富士山みたいな感じです。もっと質を高めていくには次は栄なんですよ。次の大きな山を見たら名古屋の栄しか見えなかったんですよ。
- 佐々木
- 例えば、東京でいうと原宿にお店を出すとリクルートに有利とかありますが、そのような考えはなかったのですか?
- 鶴田氏
- リクルートは結果としては効果があったのですが、リクルートのために出店はしていません。
- 佐々木
- 岡崎市は美容学校の生徒には人気がある土地なんですか?
- 鶴田氏
- そんなにないと思います。
- 佐々木
- 求人ですと新卒を中心に取られたんですか?
- 鶴田氏
- うちは新卒しかとらないです。
- 佐々木
- どうゆう形で新卒の方を獲得しましたか?
- 鶴田氏
- 自分が入社した頃も美容界が発展しつつありながら人が少なかった時代だったので、遠く離れた九州地区からも沢山来ていましたし、高校卒度通信で通わせてとかもやっていました。そのあと美容学校が2年制になって、美容学校の子しか取らなくなってそれと同時に質を高めて行きながらブランド力が上がってきたから割と愛知県の中では美容を目指す人にとってはひとつの選択肢にあげて頂けていたというのがあってなんとか困らなかったです。これからは分からないですが。
- 佐々木
- 関東にも業界で有名な美容室さんがあって、そこは郊外型の店舗なのですが、求人には結構苦戦しているんですよね。やはり従業員満足というところに力入れているところも大きいんですかね。
- 鶴田氏
- そうですね、今、インターネットで情報は無制限に流れていますから、もうどれだけ奇麗事言ったってしょうがないですよね。うちの会社はいいよと言っても実際は全部伝わってますから。オーナーが言ったことは伝わってしまいますし、それがスタッフに伝わり、横につながり、友達に伝わり・・・ということは、もう上辺だけの時代は終わっていて、これからは本物しか残らないですよ。だからそこを徹底してやるしかないんじゃないかなと思います。続けていけば、うちのスタッフは本当にいい奴ばかりなので、そうすると見学に来てスタッフと話して、この美容室いいなと思ってくれるいい奴が来てくれる。そいつはいい奴だから、またいい奴を連れてくる。
- 佐々木
- スタッフの方をしっかりと集め、教育をして念願の栄に出店したということですが、栄に出店するにあたって特別なスタッフを新たに集めたとか、選出等で特別なことをされたのですか?また、今まで岡崎市という場所でしたがエリアの違いは感じられましたか?
- 鶴田氏
- 違いますね。
- 佐々木
- やり方を変えたとかありますか?
- 鶴田氏
- まったく変えてないです。岡崎市で培ってきたことをそのまま高めていかなければいけないですし、方向性はまったく変えてないです。むしろこのままもっと思い切っていけば栄ではいいんだっていうことが見えてきました。
- 佐々木
- 栄に出店したときも順調に行きましたか?
- 鶴田氏
- 順調ではないですね。最初は売上が上がらない月があったりもしました。オープンすればお客様が来るという時代が終わっていましたから・・・でも、こつこつとやっていくしかないなと思いました。来店がなくてもフリーペーパーなどクーポン紙に載せることなかったです。その辺も質を高めるのに徹底しました。売上げを重視し過ぎるのも良くないし、だから質を高めるためのリニューアルが早いんですよ。
- 佐々木
- リニューアルは、4,5年周期位ですか?
- 鶴田氏
- 5年位ですね。
- 佐々木
- 今回、栄店がリニューアルされましたが、大幅にお店を変えたのですか?
- 鶴田氏
- 変えちゃいましたね。変えたどころが新規オープンと変わらないです。方向性は変わらないですが、お店は全く違います。
- 佐々木
- 店舗をリニューアルする度にガラッとコンセプト変えているのですか?
- 鶴田氏
- 質を上げるために改装しているので。本当の狙いは栄をもう1店舗出していこうと思ったのですが、見合う物件に出会えなかったので、大幅なリニューアルをやるしかないと判断しました。1ヶ月間休んででも。
- 佐々木
- それが、serioさんの文化なんですね。新しいことにチャレンジしていくというところが。
- 鶴田氏
- 変えてはいけないものは守って、変えなければいけないところはどんどん変えてます。
5、「もっともっとの時代」は終わった!これからはRCがテーマ
- 佐々木
- 最後になるのですが、鶴田さんの夢やこれから成し遂げたいことを教えて下さい。
- 鶴田氏
- まずは、トータルビューティーを名古屋で実現させたい。詳しくはお伝えできないのですが、今の時代に合ったスパの目指すトータルビューティーの形というのがあって、いつかこれを実現したいと思います。この名古屋で。
- 佐々木
- 竜美ヶ丘店とも全く考え方を変えてですか?
- 鶴田氏
- 竜美ヶ丘店の延長上にあるという形ですね。竜美ヶ丘でずいぶん勉強になりましたし。あの時は良かったけどこれからの店はこうしなければいけないとか。それを実現したいというのが目標ですかね。あとは美容室も環境問題に対して動きをとらなきゃいけないのかなというのがCSRというのか企業的な責任になってくるのかなと思います。
- 佐々木
- 弊社もチーム-6%を掲げて頑張っています。先日、ある大型美容室の社長さんと話したのですが、美容業界は環境問題に対して意識が不足していると言われていました。メーカーのカラー剤の容器がリサイクル出来ないとか、そうゆう面をしっかりやっていかないと業界全体の地位が向上していかないと……弊社も、もちろんそうですが、業界全体で考えなければならない時期に来ているのかもしれません。
- 鶴田氏
今自分が考えていることですけど、どの業界も世の中も右肩上がりにまだ考えているんですよ。雑誌を見ても新聞を見ても右に上がるための本、右に上がるためのノウハウ、記事ばっかりです。政治も同じです。それで日経新聞も昨対割れたとか言っている。上がったもんは下がりますよ。いつまでも上がっていくなんてありえないですよ。上がったり下がったり20%割れとかどうした?っていう話ですよ。全てのものの考え方が、右に上がるものだという前提で色々なことを考えているような気がしてなりません。これは21世紀じゃないでしょうと。人は減ってくるし、資源は減ってくる、温暖化などによって環境だって変わってくる。そんな中で、もっと物を増やして、もっとたくさん売って、「もっともっとの時代」は終わったんじゃないかなと思うと、美容界ももっとお店増やして、もっと売上げを上げて、その考えで、そのスタンスで本当にいいのかなと思います。その視線で取り組んだっていいとは思えないんですよ。もっと中身に目を向けたほうがいいんじゃないかと思うんですね。売上げは下がったかもしれないけど、でもこんな取り組みをして、こんなふうによくなったと、そこが大切だと思います。お金や時間が掛っても、今やらなければいけないことが少しずつ増えていってるんです。それに取り組まなければいけないです。美容業界にだけに限って言えば、うちのお店が隣のお店よりも売上げを上げるためにはどうするか?と考えているだけでもナンセンスです。美容界のマーケット全体を上げるくらいの考えなら分かりますけどね。もうそんな時代じゃないなと最近感じます。
- 佐々木
- 漠然とした言い方ですが、髪を切ってきれいになって世の中が明るくなる。女性が明るくなるということは、もちろん重要なんですけど、それにプラスして美容師さんとお客さんの関係ってすごく深いじゃないですか。そのコミュニティーを生かして出来ることは、非常に多いと思います。例えば美容室に行くと、髪も心もきれいになれるプラス、心のケアをしてくれるとか……実際それに近いことを美容師さんはされているのではないでしょうか。お客様と凄い近い距離で、色々な悩みを聞いたり、嬉しいことを共に喜んだり、そんな美容師さんの素晴らしさなどをメディアとして伝えていければといいなと思っています。そうなると美容師さんの価値や重要性がさらに認知されます。美容室は20万件ありますしね。例えば、防犯の対策として学校から子供が帰宅する途中に美容室が多いという点に注目したいです。商店街は防犯という視点でもかなりの効果があります。あれだけの人がいて多くのコミュニケーションを生んでいるわけですから。でも今は商店街は閉店が多くなってきていますよね。商店街によって子供達は守られてないんですよね。その役目を代わりに美容師さんが担うのもいいのかなと最近思います。最近は、隣にどんな人が住んでいるかもわからない場合がありますよね。そこで美容室を起点としたコミュニティの活性化が図れたらいいのではないかと思います。美容室の中の人と人とのコミュニケーションの力というのは、社会全体にも必ず良い影響を及ぼす力があると思うのです。
- 鶴田氏
- 美容室はこれからやることがいっぱいあると思うんですよ。Serioでは、これから“RC”ということをテーマに取り組んでいきます。“レスポンサビリティーカスタマー”と言うのですけど、「お客様に責任を私たちは果たしていく」というスタンスです。
- 佐々木
- お客様に責任を果たすということは、全て企業に当てはまることかもしれませんが、凄く責任のある重みのある言葉ですね。Serioさんはきっと高い視点での責任を果たすということを行っていくのだと思われます。今日は本当にためになるお話を聞かさせて頂きまして有難うございました。名古屋まで来た甲斐がありました。
- 鶴田氏
- こちらこそ、ありがとうございました。
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