末吉氏
末吉氏 末吉氏
末吉氏プロフィール

1943年生まれ。
生後10ヶ月で両親を亡くし、中学校卒業後と同時に理容の道にすすむ。
1972年、埼玉県越谷市にパンダ理容室1号店を開店以来、同市を中心に年商4億円、従業員数80名の16店舗のチェーン組織をつくる。今まで、多くの問題児に対し、真正面から向かい合い立派な理容師に育て上げる。2006年11月にフジテレビで放映された「もう裏切らないでくれ〜問題児たちの再生理容室〜」での、末吉氏のスタッフに対するひたむきな姿は大きな反響を呼んだ。

書籍『出逢いをありがとう!』好評発売中!!パンダ理容室ホームページ佐々木亮輔佐々木亮輔
佐々木亮輔プロフィール

1970年生まれ、‘02年(株)東京コンサルト入社。現在、美容室検索サイト『ビューティーナビ』編集長。6、7年前から美容業界にITを活用した提案を行う。現在に至るまで『ビューティーナビ』を含め、3つの美容室検索サイトの運営に携わる。業界のインターネット事情に詳しい。「美容業界をITで変える」が口癖。

BN佐々木
本日は、お忙しいところ、お時間を頂きまして本当に有難うございます。昨年末にテレビでパンダ理容室の特集番組を見て、末吉マスターのスタッフに対する思いやりにとても感動させて頂き、さらに今回、致知(人間学を学ぶ月刊誌)を読んでいたところ、末吉マスターの記事が掲載されていて、とにかくお会いしたいとの一心でお伺いさせて頂きました。先ずお聞きしたかったのが、スタッフを家族のように思ったり、どんな人でも決して見限らないなど、末吉オーナーは、もの凄く人に対して思い入れがありますが、考え方が変わられた起点とか、きっかけなどがあってのことなのでしょうか?
末吉氏
よく聞かれますけど、僕の中では、経営とか商売という視点ではゼロの世界で、何故と言われると僕の生い立ちが関係するかもしれませんね。僕は、生後10ヶ月のときに両親を亡くして、親戚も4回位まわりました。しかし、4回位まわったけど、いじめられたとか嫌な記憶は全然ありません。戦争孤児という言葉がまだ残っいる時代で、僕は日本人ですが、生まれは上海だったので、いじめにあっても不思議ではありませんでした。両親がいないからといって、寂しい思いをしたわけじゃないし、親戚で育てられたからいじめられたわけでもない。友達もたくさんいたような気もします。でも、親戚の家に何年かいますよね。そこにいる子供達や、おばさんたちも仲良くなるじゃないですか。そうなると次の親戚に行くときに、寂しさが出るのかな。これは理屈じゃなくて、本能の中でものすごく寂しさと戦うわけです。社会に出てから、若い人達に出会う機会が多くなります。そうすると、その子たちと別れるのが辛い。だから、少し彼らが悪いことをしても、放っておくことが出来なくなったと思います。僕の体験上から言うと、まだ可愛いものですよ。
BN佐々木
僕なんか小さい人間で、この人は化けないのかなとか思ってしまうけど、そういうことは思わないですかね。
末吉氏
例えば、先日も、あるスタッフから電話があり、『しばらく話してないから声が聞きたいです』と言うから話を聞いてあげたりしましたが、その子の場合は、2年位どうにもならない状態が続いていて、仕事もせず寮を抜け出して、公園のベンチにいたりすることも、しょっちゅうあり、一度、『実家に帰って反省しなさいと』言って帰したのですね。そうしたら、お母さんから『他に職もないし、もう一度お願いします』と言われ、仕事に復帰する。そんな事を、3回も4回も繰り返した子なんですがね、その子が3年目でやっと化けたかな。『これからは、やります』と言ってからは、無遅刻無欠勤、遅れた分だけ休みの日も徹底して練習してますよね。
BN佐々木
テレビで拝見させてもらったときに、すごく感じがいい若いスタッフの方がいて、表面的に見ると仕事は頑張って、お客様のうけもいい。でも、実は同僚の名前でカードをつくり、お金を借りたりするなどの行為をしています。“今の若い人は”という言い方はいけないかもしれませんが、器用な人が多くて、なかなか分かりづらい点も多いですよね。例えば、凄く考え方がネガティブで、捻くれた性格の人が、前向きに変わるのでしたら理解出来るのですが、表面的に前向だけど、何度も同じ過ちを犯す。その度に、本当に申し訳なさそうに反省する。このような人でも、接し方は同じなのですか?

末吉氏
いやぁ〜、やっぱり一緒ですよ。テレビにも出てた子もいますけれど、この子は8年かかった。8年間、まぁ〜(笑)本当によく遅刻はするわ、急にいなくなるわで、ある時なんか、その子の母親が来て寮で怒鳴りまくり、近所から警察を呼ばれるのではないかと思うぐらいのこともありました。そんなことを繰り返しながら、8年かかりましたけどね。去年の3月からだから1年位経つか・・・本当に無遅刻無欠勤になって一生懸命頑張っています。また、ある女の子は3年かかりました。兄弟でパンダにいる子も、ちょうど5年目でようやく遅刻と欠勤がなくなったかな。皆、こうやって時間を掛けて変わっていくのです。
BN佐々木
テレビで拝見させて頂いたときに思ったのですが、悩みや問題のあるスタッフに対し、御自身で話してる場合が多いじゃないですか?場合によっては、店長さんに任せたりするのですか?
末吉氏
皆さんもそうだと思うのですが、会社だと、上下関係、組織とかありますでしょ?でも、僕達の業界は、極端に言うと親方と弟子の世界だから、店長という役職はつくりますけど、まだ30歳にも満たないような若い子達ばかりですから・・・でも、まだ独身で人間関係だの人間の心だのは勉強中の立場の子ばかりだから、注意したりしかったりすることはできても、説得したり納得させるまでには至らないのですね。この“納得させる力”というのが、やはり20代だとまだちょっと人生経験が足りないですかね。命令を出して枠にはめるのは出来ます。でも、枠にはまっている中でなら誰も間違いを犯さないですよ(笑)。枠にはまらない部分のその子の持ってる個性については、やはり我々の人生体験がないと・・・結局、お金なのか、物なのか、心なのか、そのときの欲望の賭け事なのか、女性なのか、ということは読み切れないですよ。職場の就業時間などのルールの枠だったら、店長にだって、当てはめることが出来ますよ。でも、それに当てはまらないから難しい。やはり、ちょっと形式的になっちゃうのかな。
BN佐々木
御自身の中で、信念を持ってスタッフに接していると思いますが、これだけ多くの問題を抱えているスタッフがいる中で、自分の行っていることに対して、不安に思うときなどないですか?
末吉氏
本当は、いっぱいあるのでしょうけどね。環境によって考え方も変わるのかなぁ。僕なんかは、環境は関係なかったと思ってるんですけど、僕の兄弟は4人なんですね。それが、戦後で両親が居なく、皆親戚にバラバラで育てられて、長女の姉に会ったのは、僕が中学生の時だから、15歳で初めて会ったのかな。環境だけでいうと、1人ぐらい泥棒になっても、ヤクザになっても回りの人は不思議に思わないと思います。当時は、孤児という環境のはずでしたが、兄なんかは、経営コンサルトとして立派に働いて、今年、定年を迎えたりして、1人も泥棒もいなければ、ヤクザもいない。となると、環境だけでは語れないのかなと思います。そうなると、本人の持ってるものが重要だと思うのですが、まだ立ち直っていない何度も過ちを繰り返してる子がいて、彼にいつも言うことは、『心の廃人にしたくない。だから、こうやって接するんだ』って。そして、いつかは化けるのではないかと信じています。信じる気持ちがまだあるのですね。やっぱり、人間だからですかね、人間だから、学歴とかではなくて、どこか、心に響く良心ていうのがあるのではないのか?と思います。顔をジーっと見てると、やはり人間なんですよ。そうすると、『この子にどうやって接したら、人間の心を取り返すのだろうなぁ』と思って、楽しみになります。
BN佐々木
若いときに、誰かに影響を受けたということはないのですか?
末吉氏
僕等のときは、親方と職人の時代だから、中野の理容室で14年間仕事をした時の先生でしょうね。やっぱりね。
BN佐々木
末吉様は、スタッフや身近な人達に対して、“想い”を持って接していると思いますが、そのような接し方が、多くの人への接し方に繋がってくいるのでしょうか?
末吉氏
そうですね。例えば、若い子に出会うでしょ。僕等くらいの年代の世代は、『最近の若い奴の考えは、よく分からない』と言ってることが多く、同世代で、飲みに行ったり同窓会に行ったりすると、このような会話が本当に多いです。果たして、本当にそうなのか?と僕は思います。よく話を聞いてみると、自分達が年齢を重ねて組織の中でも偉くなっていくにつれて、若い社員と接する時間がなくなっているケースが多い。そうなると、気持ちの開きが出てくる。当たり前だと思います。僕の場合は、新入社員がくると、訓練校で朝9時から夕方の5時まで練習するわけですよ。毎年、高校を出たばかりの子と接するわけです。ずっと接していると、最近の若い子も昔の若い子も何も変わっていない。近頃の若い子は・・・と言うくらいだったら、『若い子の目線まで降りていったら理解出来るよ』と、同世代の仲間達に言います。自分達が、高いところから眺めているのに、近頃の若い子は・・と言ってどうなの?という疑問もあります。若いスタッフについて、女房と夜も寝ないくらい話し合うことがあるのですが、もし、自分の子供だったらどうするんだろう?という視点で考えます。常に自分の子供が職場で問題を起こしたときに、どのように対処して欲しいんだろう?と考えます。
BN佐々木
僕も、この年になっても、親に相談しなくてはいけないと思いながら、相談出来ないこともありますけどね。末吉さんのような考え方の人がいれば凄く心強いですよね。
末吉氏
自分の子供だったら・・・自分の体験を通じて、これぐらいなら立ち直ることが出来る・・・というのがモノサシですね。
BN佐々木
常に、スタッフに伝えていることはどんなことですか?
末吉氏
“志を持たなければいけない”ということです。常に僕が言うのはそれですね。
BN佐々木
“志”ですか?
末吉氏
“志”のない人間は帰りなさい、と。(サラリーマンの方には)言葉が失礼かもしれませんが、『君達はサラリーマンではないのだから』と言います。自営業者を目指してこの世界(理容業)に飛び込んできたのだから、退職金もなければ、年金もない。自分の技術で稼がなければならないのですから、独立するという“志”のない人には、最初からこの世界を諦めなさいと言います。
BN佐々木
例えば、スタッフが独立して、近くにお店を出すことってあるのですか?
末吉氏
たくさんあります。
BN佐々木
お世話になったオーナーや、お店に対して裏切った形で出店することもありますか?よくスタッフの方が独立して、働いているスタッフや、顧客データを持ち出して近く出店したとかいう話もありますよね。
末吉氏
それはないですね。でも、理美容業界の中では、そのような話はたくさんありますけれどね。実際はどうなのでしょうね。目の前に出店となるとまずいですが、我々の商売(理容業)はせいぜい500メーターの商圏ですから、車を使うと想定してもせいぜい3キロ位ですかね。そのように考えると、そんなに目くじら立てるような問題ではないような気がします。僕の考えですけどね。僕は、近くに出店させます。知らない場所で出店するより、知っている場所で出店したほうがいい。ただし、出店の際は、出店場所から、銀行の融資の件から、全て相談されますけどね。ご夫婦で理容室を経営する場合は、月に200人のお客様がいれば繁盛店になります。例えば、越谷市だと33万の人が住んでいますから、200人で割ったとしても、そんなに目くじらたてるような数字はにはならないと思います。僕は自由に好きな場所に出店させます。だから、越谷市に出店が集中してしまうのかもしれませんね。
BN佐々木
お客様に対しての教育もされていると思いますが、スタッフの方には、どのようなことを伝えていますか?
末吉氏
お客様というのは、寒い中でも、暑い中でも、自分達の給料になるものを持ってきてくれる。今と昔では、給料の多少の違いはありますけど、税金、社会保険、家賃などをを引かれた上、毎日3食、食べるとなると、小遣いとしてどのくらい残るのか?高卒の初任給であれば、せいぜい2万円残ればいいほうだという話をします。その2万円の中から、カットをしてパーマをかけたとすると、8千円位頂くことになります。そしたら、その人達の小遣いはどのくらい残るのか?ということを考えなさい。というのが僕の教育です。さらに、それを肌で感じてもらうために、スタッフを朝の満員電車に乗せます。満員電車のピーク時の7時半の電車に乗るとなると、6時半には起きて顔洗って準備しなければなりません。君らは8時に起きればいいから、6時半なんて夢の中だから、朝早起きして満員電車で通勤している方々から、4千円なり8千円なりのカット、パーマ料金を頂くということを考えて、どのようにお客様に接すればいいのか?ということが大事だと思っています。
BN佐々木
駅前での、朝のスタッフの方々による挨拶もその一環ですか。
末吉氏
そうですね。感謝というのは、言葉では何とでも言えるけど、行動で形にしようというのが僕の信条ですね。心の中で叫んでも、文字で書いてもダメです。行動しなきゃ・・・
BN佐々木
パンダ理容室は、越谷市中心に現在16店舗展開していますが、ブランドをつくるという視点で店舗展開をしているのでしょうか?
末吉氏
これも全然ないですね。最初に戻りますけどね、本当は、みんなを独立させたいわけですよ。けれども、どうしても独立できない人はいる。やっぱり人間の資質の問題がどうしてもありますね。人間的には、素晴らしいけれども、少し度胸が足りないとか、人間的欠陥はないけれど、精神的に弱いとか・・・そうなると、パンダに残るわけですよ。最後までパンダに残るというスタッフ達が、現在も10人位いますから、長い人だと30年ですかね。10年以上勤続というのが、84人中に20人程いますかね。そのスタッフ達と、親方と職人の世界だけの関係で続くとなると、僕にはちょっと忍びないのかな。そうなると、お新しいお店を出して、責任者にして、“越谷市のパンダ理容室の店長”という肩書きを持たせるのです。出店するエリアも自分が働きなれた場所、つまり、越谷市になるケースが多くなります。そして、自分の店の近くに家を持ちなさいと言います。だから、一つの街に16店舗展開ということになるのです。業界的には考えられないことですけどね。
BN佐々木
僕の浅はかな考え方だと、パンダ理容室の中で、こっちのパンダさんと、あっちのパンダさんは違うとなると、問題があるのではないかと思うのですが・・・
末吉氏
経営視点だけで考えれば、儲かる場所に、当然出店すべきなのでしょうが・・・そのような話(店舗展開)もいっぱいありますよ。
BN佐々木
お店の周りを、スタッフの方が掃除をしているのを良く見掛けますが、地域に対してのボランティア的な意味合いもあるのですか?
末吉氏
掃除は、長年おこなっています。お店の近所を掃除していますけど、最近は、僕から注文しなくても、みんな掃除をしていますよ。パンダジャンバーを着て、南越谷駅とか商店街などを掃除していますよ。でも、僕は、『先ずは、自分の店の前を掃除しろ』と言いますね。先ず、自分の店の前を掃除して、時間が残ったら隣近所をやりなさいと言います。最初に隣近所を掃除して、自分の店の前に、ゴミがたまっていたら、これは自己満足と自己開花の世界だと。
BN佐々木
ボランティアが自己満足になってしまうとボランティアではなくなってしまう・・確かにそうですね。パンダのスタッフは、やる気に溢れて頑張っている。でも、最近、理容師、美容師になりたいと思う人が少なくなってる現実がありますが、そのことに対してどう考えていますか?
末吉氏
本当に少ないですよ。理容師になると特に深刻です。(理容師を目指す人は)全国に3千人位しかいないかな?僕達の理容組合がつくった学校があるのですが、理容組合がつくった専門学校なのに、美容部を今年からつくるくらいですから・・・美容師を目指す人は全国に2万人程いますからね。当然、僕等は、手に職を持つ技術の世界で生きているわけだから、トレーニングしなければダメです。カットが出来るまでに1万人、パーマが巻けるまで千人、この数をこなせば出来るようになります。だけど、その千人の練習をするために、営業時間中に練習させたら、普通の理容室では給料を払えなくなってしまいます。パンダは別です。パンダは営業時間中にさせますけど、通常は閉店した後に夜から練習を始めます。そうすると、終わるのが深夜12時になるときもあります。どのお店でも、このことは説明はしてると思いますが、進路指導の先生が、生徒さんに上手に伝えられないようです。だから、新人のスタッフが仕事が済んで、カラオケにでも行こうと思ったのに『これから練習だ』とか言われると、理想と現実のギャップが大き過ぎると思うのでしょうね。それでみんな辞めてしまうのかな。本当は、そんなに離職するような職業じゃないと思いますけどね。
BN佐々木
人材確保という点では、理容業では、非常に苦労されているとのことですが、パンダさんで人材を確保するために、工夫していることなどはありますか?
末吉氏
僕は、学校訪問することが大事だと思っています。求人する側も誠意を示す為に、学校訪問すべきなのです。理容の求人は山ほどあります。でも、どれも求人票という紙切れだけで済ますからだめなのかな。きちんと学校訪問をして、1度夏休みに生徒を連れてきて、寮に泊めて、実際の職場を体験してもらって、夜は同郷の先輩の部屋に泊めて、こんなに大変な職業ですよ、ということを話してもらい、その上で『頑張ります』と言う子は試験なしても採用しますね。実は、理容室の実働は短いです。実働はだいたい3、4時間ですが、拘束時間が10時間位です。トレーニングも含めると12時間拘束されますね。けれども5年ですからね。たかが、5年乗り切れば、定年のない世界だから50年、60年食べていけます。このような魅力をどれだけ伝えられるかでしょうね。
BN佐々木
美容業界もそうですけど、最近、低料金のカットのお店が出てきてますよね?そのような動向に対して、反感などもありますか。
末吉氏
これはね、一過性ですよ。昔、僕らが理容の世界に飛び込んだときの昭和35、6年の頃も、料金が下がり続けて、180円だったカットの料金を50円まで値下げして、結局、潰れる店が増えるわけですよ。そして、この何年かで千円カットのお店など、低料金のカットサロンがブームになりましたよね。3年以内に千店舗出店するというサロンもありますけど、技術者の数が足りないから、免許は持ってるけど、家庭の主婦だから引退したという人などがローテーションを組んで運営していくと思いますよ
BN佐々木
理容室のことは、詳しくなくて申し訳ないのですが、再来率の目安はありますか?
末吉氏
僕の感覚では、再来率が80%ないと多分やっていけないでしょうね。
BN佐々木
80%ないとやっていけないですか?美容にしたらかなり高い確率ですけどね。
末吉氏
フリー客は期待できないですから。駅前で多分60%位でしょうね。
BN佐々木
再来率を高めるために行っていることなどありますか?
末吉氏
これから、色々な案を練っていきますけど、店の上のフロアを開放して、ミニギャラリーみたいなプライベートギャラリーをつくろうと考えています。ものすごく趣味が多様化している時代の中で、これから、団塊世代の人達が引退していくわけですよ。写真の好きな人、絵葉書を書く人、そういう人達に対して、15畳の部屋を無料で開放して、オープンテラスを作りたいと思ってます。僕が30年間かけて集めた本が2000冊程ありますので、書籍みたいな空間にもしたいですね。とにかく多くの人達が楽しめる空間にしてみたいです。
BN佐々木
新しいコミュニティを作るってことですかね。
末吉氏
そうです。そうしないと、この少子高齢化社会は乗り越えていけません。
BN佐々木
最後に、末吉様の夢でもある“パンダ村”について、お聞きしたいのですが、“致知”での記事の中にもありましたが、パンダ村については、あまり詳しく書いてなかったですよね。
末吉氏
今まで出会った仲間達の中で、僕と最後まで仕事をやりたいという人達がいて、僕についていきたいと言ってくれたのが、パンダ村をつくるきっかけです。でも、現実問題として(理容師は)感性の仕事であり、本来なら、老眼になると技術は出来ないのですが、自分が年をとるにつれて、お客さんも年をとっていくから、技術がどうのというよりも話すことが楽しくて・・・けれども、給料もらっているのに、会話を楽しむだけなんて出来ないから、55歳という定年を決めてる。そうなると、今度は55歳になったらどうする?という問題にぶつかるわけです。失礼な言い方になるかもしれないけど、55歳くらいだと、ガードマンか、駐車場の配車係しか出来ないのかもしれません。せっかく手に職があるのにもったいない、ということになるわけです。10年前、秋田県の田沢湖に行き、そこで“わらび団”という劇団がありまして、その“わらび団”の人達は、お金がないから芝居をしながら農家を手伝って米をもらい、そして、練習をして芝居を見せ歩いたそうです。その後、大きくなっていって・・・今は、ものすごいですよ。そこで、ひとつの村をつくるのです。その村では、ある程度年齢を重ねた劇団員の人達が、若い人達に対して、芝居に対する考え方とかを、語り勉強する場を与えているのです。そして、アパートや寮をつくり、若い劇団員が、年老いた劇団員の面倒を見ながら芝居をしていくわけです。その話を聞いて、僕達も55歳で定年になるけど、技術はしっかりあるので、その技術をどこかで発揮しようと思ったのです。自給自足を基準にして、物々交換でいこうと。僕等は技術があるから、カット料金の代わりに魚をもらおう、米をもらおうという考え方が出発点でした。それで3、4年前から土地と場所を探し始めて、やっと今のパンダ村(千葉県千倉市)に出会ったわけですよ。ここで、一山5千坪丸々買って、そこに畑を3箇所つくってます。県道沿いにも300坪の土地を買って、手打ち蕎麦屋と理容室を出しました。山の頂上に建っている記念碑は、パンダの墓標となってます。パンダ村にやってくる人達は、結婚してるけど子供がいないとか、結婚はしたけど、離婚して生涯誰もいないとかいう人達が来ますね。先日、僕のもとで長い間頑張ってもらっていたスタッフの母親が亡くなりましたが、亡くなった母親が10年くらい鬱病だったため、葬式も出せない状況でした。どうしようもなかったので、パンダ村に埋葬することになりました。
BN佐々木
スタッフの方も、最終的にパンダ村に行きたいと言う人は多いですか?
末吉氏
はい。まぁ、増えてもらっちゃ困りますけど・・・遊びにはみんな来ますね。みんなで、竹の子取りとか、畑を耕したり、都会じゃ味わえない親睦をみんなで深めてますかね。山の掃除もみんなでやってもらいますけどね。
BN佐々木
将来的に、パンダ村をこんな村にしたいという、イメージはありますか?
末吉氏
そうですね、理容室も蕎麦屋もまあまあ繁盛してきましたからね。健康だったら定年がないので、食べていくだけ、みんな食べていけたらいいのかな。
BN佐々木
なるほど。みんなが元気になれるような感じですか。
末吉氏
そうですね、それでみんな自分の家を作ってますから。ここが僕の最後の終着点ですかね。
BN佐々木
本日は、お忙しいところ、本当に貴重なお話を聞かせて頂きまして、有難うございました!!体に気を付けて、いつまでもお元気で頑張ってください!!
末吉氏
はい。有難うございました。今度、パンダ村に遊びに来てくださいね。

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